パートや短時間勤務の職員も研修が必要?——こども性暴力防止法の「研修」

こども性暴力防止法(日本版DBS)では、対象業務に従事するすべての職員に対して「研修」を受けさせることが義務づけられています。

「短期間しか働かないパートスタッフも対象になるの?」「どんな内容の研修をすればいいの?」「いつまでに受けさせればいいの?」——よくある疑問について、こども家庭庁の資料をもとに整理します。


01|勤務期間が短い職員や短時間勤務の職員も研修が必要ですか?

こども家庭庁の資料では、こう明確に答えています。

はい、対象従事者に当たる全ての方に研修を受けていただく必要があります。

「短期間しか働かないから」「週数時間しか働かないから」という理由で研修を免除することはできません。対象従事者に当たる以上、全員が研修を受ける必要があります。

ただし、不定期・短期間で従事する方など、標準的な研修の受講がすぐには困難な方については、「要点研修」を受講することも可能です。

研修の種類対象内容
標準研修原則として全ての対象従事者従事者が理解しておくべき標準的な内容を網羅したもの(座学+演習)
要点研修不定期・短期間で従事する方など、標準研修の受講がすぐに困難な方最低限理解しておくことが必要な内容を網羅したもの

いずれの研修も、こども家庭庁が作成・公表しているものを使用します。

02|どのような研修を受講させればよいですか?

研修には「座学」と「演習」を組み合わせることが必要です。座学と演習は必ずしも同日に行う必要はありませんが、いずれも業務に従事する前に完了することが求められます。

研修に含めるべき内容は、以下の8項目(ア〜ク)とされています。

  •  児童対象性暴力等の防止に関する基礎的事項(発生要因、こどもの権利等)
  •  不適切な行為の禁止及び不適切な行為の範囲に関する事項
  •  犯罪事実確認に関する事項
  •  安全確保措置(防止措置)に関する事項
  •  被害を受けたこどもへの支援に関する事項
  •  情報管理に関する事項
  •  相談・通報窓口に関する事項
  •  対象事業者における服務規律等のルールに関する事項

特に注目すべきは「ク」の「対象事業者における服務規律等のルールに関する事項」です。

これは単に「法律の概要を教えればいい」という話ではありません。事業者が自分たちの職場のために定めたルール——つまり就業規則の内容——を研修で教える必要があるということです。

ここで重要な問題が生じます。

就業規則にDBS法対応のルールが定められていなければ、「ク」の研修内容がない状態になってしまいます。

つまり、研修を実施しようとしても、肝心の「うちの職場のルール」が就業規則に整備されていなければ、研修が完結しないのです。

具体的に就業規則に盛り込む必要があるのは、以下のような内容です。

  • 「不適切な行為」の範囲の定義
  • 犯罪事実確認への協力義務
  • 違反した場合の懲戒規定
  • 安全確保措置への協力義務

これらが就業規則に明記されて初めて、研修の場で「うちの職場ではこういうルールになっています」と職員に伝えることができます。

就業規則の整備→研修の実施→職員への周知——この流れがセットになっていることを、多くの事業者がまだ理解できていません。「研修だけすればいい」「就業規則だけ整えればいい」ではなく、両方が揃って初めてDBS法への対応が完成するのです。

施行日の2026年12月25日まで残り半年あまり。義務対象事業者の既存職員は施行前に研修を完了させる必要があります。逆算すると、就業規則の整備は今すぐ着手しなければ間に合いません。

03|研修はいつまでに受講させればよいですか?

研修の受講期限は、従事者の区分によって異なります。

区分受講期限
新規採用・異動等で新たに対象業務に従事する者対象業務に従事する前まで
学校設置者等の施行時現職者(義務対象事業者の既存職員)法の施行前(2026年12月25日より前)に受講
認定事業者等の認定時現職者認定申請前に受講

特に重要なのは、義務対象事業者(幼稚園・保育所・私立学校等)の既存職員については、法施行日の2026年12月25日より前に研修を完了させる必要があるという点です。

施行日まで残り半年あまり。就業規則の整備と合わせて、今から研修の準備を進めることを強くおすすめします。


「研修の準備をどう進めればいいかわからない」「就業規則の整備と研修をセットで対応したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。

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