「こどもと1対1にさせない」——こども性暴力防止法が求める安全確保措置、今すぐできる具体策
こども性暴力防止法(日本版DBS)の施行まで、残り半年あまりとなりました。
就業規則の整備・研修の準備と並んで、事業者が今すぐ取り組むべきことがあります。それが「安全確保措置」です。
安全確保措置の核心は、「こどもと従事者が1対1になる状況を作らない」ことです。これは施行後に始めることではありません。今から職場の環境を整えておくことが求められています。
01|安全確保措置とは何か
こども性暴力防止法が事業者に義務づけている「安全確保措置」は、大きく以下の内容から構成されています。
- こどもの日常観察・定期的な面談・アンケート
- 相談体制の整備(内部相談窓口+外部相談窓口)
- 報告・対応ルールの整備
- 研修の実施
- 犯罪事実確認
- 防止措置(こどもと接する業務に就かせない等)
このうち、日常的な環境整備として今すぐ取り組めるのが「こどもと従事者が1対1になる状況をなくすこと」です。
こども家庭庁の資料では、「犯罪事実確認が済むまでは、原則こどもと1対1にさせない等の措置をとる必要があります」と明示されています。これは犯罪事実確認の場面だけでなく、日常の業務全般に通じる考え方です。
02|なぜ「1対1にさせない」ことが重要なのか
以前のブログで解説した通り、犯罪事実確認の対象になるかどうかは「支配性・継続性・閉鎖性」の3要件で判断されます。
このうち「閉鎖性」とは、「第三者の目が届きにくい環境で、こどもと接する機会があること」です。
つまり「1対1の状況=閉鎖性がある状況」であり、性暴力が起きやすい環境になります。逆に言えば、常に第三者の目がある環境を作ることが、最も効果的な性暴力防止策になるのです。
また、こども家庭庁の資料でも明確に示されています。
指導者1人に対してこどもが2人以上いても、第三者の大人の目がなければ閉鎖性はなくなりません。
こどもの数ではなく、「第三者の大人の目があるかどうか」が重要なのです。
03|今すぐできる具体策——職場環境の整備
「1対1にさせない」ために、今すぐ取り組める具体的な対策をご紹介します。
【物理的な環境整備】
- 個室や死角になる場所での指導・業務を禁止し、ガラス張りや開放的な空間で行う
- 教室・指導室のドアは開放、またはガラス窓を設置する
- 防犯カメラを適切な場所に設置する
【業務ルールの整備】
- こどもへの個別指導・補習は、必ず複数の大人が見える場所で行う
- 従事者とこどもが2人きりになる状況は、できる限り複数の従事者で対応する
- SNS・メッセージアプリによるこどもとの個人的なやりとりを禁止する
- こどもを事業所の外で1対1で指導することを禁止する
【記録・確認の仕組みづくり】
- 指導記録を複数の従事者で共有する
- 個室での面談が必要な場合は、事前に上司に報告・許可を得るルールを作る
- こどもの様子の変化を定期的に確認・共有する
04|これらを就業規則に盛り込むことが必要です
上記の対策を「口頭で指示するだけ」では不十分です。就業規則に明記し、全従事者に周知することが求められています。
就業規則に「事業者が定める安全確保措置に関するルールを遵守すること」を規定することで——
- 従事者が「これはルールだ」と認識できる
- 違反した場合の懲戒処分の根拠になる
- 「知らなかった」という言い訳を防ぐことができる
就業規則の整備→研修での周知→日常業務での実践——この3つがセットになって初めて、実効性のある安全確保措置になります。
施行まで残り半年あまりです。「どこから手をつければいいかわからない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。就業規則の整備から話し合いのサポートまで、社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスでワンストップで対応します。


