DBS法対応の就業規則、知っておくべき4つの実務ポイント——現職者への誓約書は要注意
以前のブログで、犯罪事実確認で特定性犯罪前科が判明した場合の「防止措置」について、解説しました。
今回は応用編に進みます。就業規則の見直し、派遣労働者の取り扱い、現職者への誓約書の注意点、そして犯罪事実確認記録の共有範囲——こども家庭庁の資料をもとに、実務で押さえておくべき4つのポイントをお伝えします。
01|就業規則の見直し——参考例がガイドラインに掲載されています
「DBS法に対応するために就業規則をどう見直せばいいのか、参考例はありますか?」
Q&Aではこう答えています。
就業規則の参考例については、ガイドラインの別紙5をご参照ください。
こども家庭庁が公表しているガイドラインの別紙5に、就業規則の参考例が掲載されています。ゼロから作る必要はありません。まずはこの参考例をもとに、自社の実態に合わせて整備していくのが確実な方法です。
ただし、参考例はあくまで「参考」です。業種・業態・組織体制によって、盛り込むべき内容は異なります。特に「不適切な行為」の範囲は、現場の職員と話し合って決めることが求められています。参考例をそのまま使うのではなく、自社の職場に合った内容に調整することが大切です。
02|派遣労働者の場合の留意点
対象業務に従事する人が派遣労働者である場合、防止措置に関してどのような点に気をつければよいでしょうか。
詳細についてガイドラインⅦ.3「対象業務従事者が派遣労働者等や個人業務受託者である場合の留意点」を参照するよう案内しています。
派遣労働者を受け入れている事業者は、ガイドラインの該当箇所をご確認ください。派遣労働者や個人業務受託者に関する就業規則の整備は、通常の従業員とは異なる配慮が必要になりますので、社労士などの専門家に相談されることをおすすめします。
03|現職者への事後的な誓約書——「経歴詐称」にはなりません
ここが最も注意が必要なポイントです。
就業規則に「重要な経歴を詐称して雇用されたとき」を懲戒事由として定めている事業者は多いと思います。では、すでに働いている現職者に対して、今から「特定性犯罪前科がない」旨の誓約書を提出させ、犯罪事実確認で虚偽が判明した場合、この懲戒事由に該当するでしょうか。
Q&Aの答えは明確です。
既に業務に従事している者について、事後的に誓約書等を取った場合は、仮に虚偽の内容があったとしても「重要な経歴を詐称して雇用されたとき」には該当しないものと考えられます。
「雇用されたとき」の経歴詐称ではないからです。すでに雇用された後に取った誓約書の虚偽は、採用時の経歴詐称とは性質が異なります。
だからこそ、新規採用の段階で、募集要項への明記・誓約書の取得・内定通知書への内定取消し事由の記載を行っておくことが重要です。
現職者については、「経歴詐称」ではなく、DBS法に対応した就業規則の整備——犯罪事実確認への協力義務、不適切な行為の禁止、これらに違反した場合の懲戒事由——を定めておくことで対応する必要があります。
04|犯罪事実確認の結果は、誰まで共有していいのか
犯罪事実確認の結果、特定性犯罪事実該当者であることがわかった場合、配置転換や解雇等の検討・対応は、犯罪事実確認書を閲覧できる職員だけで行う必要があるのでしょうか。
防止措置の検討・実施に当たり、同一事業者内で犯罪事実確認記録を必要最低限の関係者間で共有することは、法で禁止されている目的外利用には該当しません。
つまり、防止措置の検討・実施のために必要な範囲であれば、同一事業者内で情報を共有することは認められています。
ただし、共有する範囲は「必要最低限」に限定する必要があります。「知る必要のない人」にまで情報が広がってはいけません。法や個人情報保護法等の関係規定を遵守し、必要な対応を行うための最小限の範囲に限定して共有することが求められています。
4つのポイントを整理すると——
- 就業規則の参考例はガイドライン別紙5にある。ただし自社に合わせた調整が必要
- 派遣労働者の場合はガイドラインを確認し、専門家への相談がおすすめ
- 現職者への事後的な誓約書の虚偽は「経歴詐称」にはならない。新規採用時の対応が重要
- 犯罪事実確認の結果は、防止措置に必要な最低限の範囲で共有可能
特に03の「現職者への誓約書は経歴詐称にならない」は、見落とされやすい重要なポイントです。就業規則の整備は、こうした細かい点まで考慮して進める必要があります。
DBS法対応の就業規則については、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。


