先日、目を背けたくなるニュースが報じられました。
埼玉県川口市で、主に障害のあるこどもたちが通う放課後等デイサービスの送迎中に、施設の職員が小学生の女子児童の体を触るなどしたとして、不同意わいせつの疑いで逮捕されたという事件です。報道によれば、当時、車内は職員とこどもの2人だけだったとされています。
こうした事件について書くことは、正直なところ気が重いです。でも、これはまさにDBS法(こども性暴力防止法)が防ごうとしている事案そのものであり、目を背けずに向き合わなければならないと思い、書くことにしました。
この事件が示す「2つの重要な論点」
報道されている内容から、DBS法との関連で2つの重要な論点が見えてきます。
ひとつは「送迎中の車内という、閉鎖された1対1の空間」であったこと。もうひとつは「障害のあるこどもが対象だった」ことです。
この2つは、これまでこのブログでお伝えしてきたDBS法の対策と、そのまま重なります。
「1対1にさせない」ことの重み
以前のブログで、安全確保措置の核心は「こどもと従事者が1対1になる状況を作らないこと」だとお伝えしました。
報道によれば、今回の事件は送迎の車内という、まさに第三者の目が届かない閉鎖的な1対1の空間で起きたとされています。
送迎は、多くの園や施設で日常的に行われている業務です。「送迎で1対1になるのは避けられない」と感じる事業者も多いでしょう。実際、すべての送迎に複数の職員を配置することは、人員的に難しい場合もあります。
だからこそ、DBS法は「1対1を完全になくす」ことだけを求めているのではありません。犯罪事実確認によって、そもそも性犯罪の前科がある人を対象業務に就かせないこと。そして日常的な観察や、複数の目で見守る体制、記録の共有といった、幾重もの対策を組み合わせることを求めているのです。
ひとつの対策だけでは、防ぎきれないことがあります。だからこそ、犯罪事実確認・研修・安全確保措置・相談体制——これらを組み合わせて、こどもを守る仕組みを作ることが大切なのです。
障害のあるこどもへの、特別な配慮
今回の事件は、障害のあるこどもが対象でした。
以前、日常観察や面談についてのブログでお伝えしましたが、こども家庭庁の資料では、障害のあるこどもについて特別な配慮が示されています。
障害のあるこどもは、被害を受けても、それを言葉で伝えることが難しい場合があります。だからこそ、周囲の大人が異変に気づけるよう、より丁寧な観察が求められます。また、普段のケアを担当する職員からの被害を考慮し、通常は担当外の職員が関わる工夫も考えられるとされています。
障害のあるこどもを預かる事業者にとって、DBS法への対応は、より一層重要な意味を持ちます。
「うちの職員に限って」ではなく
こうした事件が報じられるたびに、多くの事業者は「うちの職員に限って、そんなことはない」と思うでしょう。その気持ちは、とてもよくわかります。
でも、DBS法は「職員を疑う」ための法律ではありません。こどもを守り、同時に、真面目に働く職員をいわれのない疑いから守るための仕組みです。
犯罪事実確認によって「この職員は大丈夫だ」と確認できることは、保護者の安心につながります。1対1をできる限り避ける体制は、職員自身を「疑われるリスク」から守ることにもなります。
施行日の2026年12月25日まで、残りわずかです。こうした事件を「他人事」とせず、今できる備えを進めていただきたいと思います。
「DBS法への対応を進めたい」「送迎や日常業務での安全確保措置について相談したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。
