こども家庭庁が知事あてに準備を要請——DBS法チェックリスト、あなたの施設はいくつ埋まっていますか?
2026年(令和8年)7月17日、こども家庭庁支援局長から各都道府県知事・指定都市市長・中核市市長あてに、「こども性暴力防止法の施行に向けた義務事業者用施行準備ガイド資料の周知及び円滑な施行に向けた対応について(依頼)」という文書が発出されました。
施行日の2026年12月25日まで、残り半年を切りました。国がここまで念を押すのは、それだけ準備が進んでいない事業者が多いということでもあります。
「手続き」は進んでも、「中身」が止まっている
現場を見ていて感じるのは、準備には「進みやすいこと」と「止まりやすいこと」がある、ということです。

進みやすいのは、事務的な手続きです。GビズIDの取得や、こまもろうシステムへのアカウント登録。これらは手順どおりに進めれば完了するので、比較的スムーズに進みます。自治体によっては、これらの手続きができているかどうかを役所がチェックしているところもあり、「やらざるを得ない」ことが後押しになっている面もあります。
一方で、止まりやすいのが「中身」の部分です。「不適切な行為」の範囲を職員と話し合って決める、就業規則を見直す、研修を受ける、情報管理規程を作る——。こうした、頭を使い、みんなで向き合わなければできないことが、後回しになりがちです。
でも、この「止まりやすい方」こそが、DBS法の本丸です。GビズIDを取得しても、こどもは守れません。就業規則を整え、職員みんなで「不適切な行為とは何か」を話し合い、研修を受けて初めて、こどもを守る仕組みが動き出すのです
準備ガイドの「チェックリスト」で自己点検を
今回の準備ガイドには、施行までに対応すべき事項をまとめた「チェックリスト」が掲載されています。せっかくなので、ご自身の施設で、いくつチェックが付くか確認してみてください。
1 制度についての従事者等への周知
2 犯罪事実確認・防止措置関係
- ① 不適切な行為の範囲の検討・確定
- ② 対象業務従事者の範囲の検討・確定
- ③ 就業規則等の見直し
- ④ 採用募集要項の見直し、採用過程での性犯罪前科の事前確認
3 安全確保措置の実施のための体制整備
- ① 性暴力事案の疑い発生時の報告・対応ルール策定・周知
- ② 相談体制の整備(相談窓口設置・周知等)
- ③ 従事者向け研修の計画策定・実施
4 情報管理措置
- ① 情報管理規程の作成、規程に沿った情報管理体制の整備
いかがでしょうか。「1はやった」「GビズIDは取った」——でも、2から下は、ほとんどチェックがつかない、という施設も多いのではないでしょうか。
後回しにされがちな「4つの本丸」
特に、次の4つは時間がかかるうえ、後回しにされがちです。
① 不適切な行為の範囲の検討
これは、職員とコミュニケーションを図りながら、事業の実態に即して決める必要があります。「こういう行為は不適切だ」と一方的に押しつけるのではなく、話し合いのプロセスが欠かせません。だから時間がかかります。
② 就業規則等の見直し
懲戒事由や対象業務従事者の範囲などを就業規則に定め、周知しておく必要があります。就業規則の変更は、職員代表の意見を聞くなどの手続きも必要で、一朝一夕にはできません。
③ 従事者向け研修
こども家庭庁が標準の研修動画を公表しています。対象となる全ての従事者が、施行前に受講する必要があります。「まだ誰も見ていない」という施設は、今すぐ計画を立てましょう。
④ 情報管理規程の作成
犯罪事実確認で得た情報は、極めて機微な情報です。これを適正に管理するための規程を作り、体制を整える必要があります。
「うちはGビズIDを取ったから大丈夫」ではありません
準備ガイドにも、はっきりと書かれています。「一定の時間を要する事項もあり、早めに準備を進めてください」と。
そして施行後は、年に1回こども家庭庁への定期報告が必要になり、各業法に基づく指導監査でも取組状況が確認されます。仮に措置が適切に行われていないことが分かった場合には、違反事業者の公表や是正命令、場合によっては刑罰(拘禁刑・罰金刑)が科されることもあります。
「手続きは済んだ」で安心せず、チェックリストの2から下——本当にこどもを守るための取組に、今すぐ着手してください。
「就業規則の見直しから手をつけたい」「何から始めればいいかわからない」という幼稚園・保育所・学校、学習塾・スポーツクラブなど、こどもと接する事業を営むすべての事業者の方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。


