「不適切な行為」とは?DBS法の具体例と、疑いが生じたときの対応

こども性暴力防止法(DBS法)には、「児童対象性暴力」のほかに、「不適切な行為」という考え方があります。

「不適切な行為とは、具体的にどんな行為のこと?」「うちの園ではどう決めればいいの?」「疑いが出たら、どう動くの?」——こども家庭庁のQ&Aをもとに、整理します。


01|「不適切な行為」とは

「不適切な行為」は、それ自体は児童対象性暴力等には該当しないが、業務上必ずしも必要な行為とまでは言えないものであって、当該行為が継続・発展することにより児童対象性暴力等につながり得る行為をいいます。

つまり、性暴力そのものではないが、放っておくと性暴力につながり得る行為のことです。

Q&Aは、「不適切な行為」が行われる中で、公私の区別が不明確になったり、児童等との適切な距離感が失われたりして、性暴力に至るリスクがあると指摘しています。「不適切な行為」の段階で改め、性暴力に至ってしまうことを未然に防止することが重要だとしています。


02|具体例

Q&Aには、「不適切な行為」の具体例として、次のものが挙げられています。

  • こどもとSNS上で私的なやり取りを行う
  • 私的な端末で、こどもの写真を業務外の目的で撮影する
  • こどもと二人きりで私的に会う
  • 不必要な身体接触(おむつの中に手を入れて排せつを確認するなど)を行う
  • 特定のこどもばかり理由なく担当しようとする

詳しくは、ガイドラインの図表2(P21-22)に示されています。

ただし、Q&Aは次の点に留意が必要としています。

「不適切な行為」は、対象事業者、事業内容、対象となる児童等の発達段階や特性、現場の状況等によって、不適切であるか否かが変わり得るものであり、これらの行為に該当することで一律に不適切であると判断されるものではない


03|具体例にあれば、どの事業でも「不適切」?

答えは、「一律ではない」です。

ガイドラインに載っている具体例は、全ての事業者で一律に不適切と判断されるものではありません。「不適切な行為」かどうかは、事業内容、こどもの発達段階や特性、現場の状況等によって変わり得ます。

そのため、Q&Aは、事業者に次のことを求めています。

  • 従事者としっかりコミュニケーションを図ること
  • 現場が過度に萎縮することがないよう留意すること
  • 事業者ごとに「不適切な行為」の範囲を決定すること

研修でも、「不適切な行為」の範囲を学び、職場全体で認識を共有することが求められています(研修の8つの項目については、こちらの記事で解説しています)。


04|「重大な不適切な行為」とは

「不適切な行為」の中には、「重大な不適切な行為」と判断されるものもあります。判断にあたっては、対象業務従事者の加害認識や、被害の重大性、悪質性等が踏まえられます。

具体的には、「不適切な行為」の例に、「執拗に」「児童等や保護者の意に反することを認識しながら」などの悪質性が高まる要素が加わった場合には、「重大な不適切な行為」に該当し得ます。

Q&Aが挙げる例は、次のとおりです。

  • 保護者の意に反することを認識しながら、児童等の自宅等で二人きりになる
  • 児童等の意に反して、必要以上に長時間抱きしめる など

05|「不適切な行為」の疑いが生じたとき

「不適切な行為」の疑いが生じた場合も、事案の内容その他の事情等に応じて、調査、保護・支援、防止措置等について、一定の措置を講じる必要があります。

調査をしていく中で、児童対象性暴力等が行われるおそれがあると判断されることもあり得ること、また、「不適切な行為」の段階で対処することで未然防止につなげることが必要であることが、理由とされています。

調査等の結果、「不適切な行為」が行われたと合理的に判断される場合は、次の考え方で防止措置を講じます。

状況対応の考え方
初回かつ比較的軽微なものまず、なぜそのような行為を行ったのか、背景の理由や考えを尋ねたうえで、繰り返さないように指導や研修受講命令を行い、注意深くその後の経過観察を行うなど、段階的な対応が考えられる
重大な不適切な行為である場合児童対象性暴力等が行われた場合に準じた対応が必要(対象業務に従事させない等)

06|今から準備しておきたいこと

  • 自園・自社の「不適切な行為」の範囲を決める——ガイドラインの具体例をそのまま使うのではなく、事業内容やこどもの特性、現場の状況に合わせて、従事者と話し合って決めます
  • 疑いが生じたときの流れを決めておく——報告・調査・指導・経過観察の手順を、軽微な場合と重大な場合に分けて整理します
  • 就業規則を確認する——指導や研修受講命令、配置転換などを行うための根拠規定があるかを確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます

「自園の『不適切な行為』のルールづくりを手伝ってほしい」「就業規則の整備とあわせて相談したい」という幼稚園・保育所・学校・学習塾・スポーツクラブなど、こどもと接する事業を営む事業者の方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。

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