採用選考で「性犯罪前科はありますか」と聞いていいの?——誓約書・内定取消し・DBS法Q&A最新版(2026年9月18日改訂)を解説

2026年9月18日、こども家庭庁はDBS法(こども性暴力防止法)のQ&Aを改訂し、新しい質問が追加されました。その中に、採用担当者や園長先生から「実はずっと気になっていた」という声が多いテーマが含まれています。

「採用選考の段階で、誓約書などを使って性犯罪前科の有無を確認してもいいのか?」

今回は、この疑問に正面から答えたQ&A 7-4-2(民間企業向け)と7-4-3(地方公務員向け)の内容を解説します。


01|そもそもなぜ、採用前に確認したいのか

DBS法では、犯罪事実確認は原則として「採用が決まってから」行う仕組みです。しかし、採用担当者からすると——

  • 「内定を出してから前科が判明したら、取り消せるのか不安」
  • 「こどもと接する仕事なのに、採用後に発覚では遅すぎる」
  • 「選考の段階から誓約書を取れれば、リスクを減らせるのでは」

こうした現場の声に、今回の改訂版Q&Aがはじめて正面から答えました。


02|民間企業の場合(Q&A 7-4-2)

総合職など、配属によってはこどもと接する業務に就く可能性がある職種の採用について、採用選考段階から誓約書等で性犯罪前科の有無を確認することは可能かという問いに対して、Q&Aはこう答えています。

こども性暴力防止法の対象事業者が、将来的にこどもと接する業務(対象業務)に従事することが想定される求職者に対して、採用選考時に特定性犯罪前科を誓約書等により確認することは一概に不適切とは言えません。

つまり、「できる」と明示されました。ただし、条件があります。

採用時点では必ずしも対象業務に従事するとは限らず将来的な可能性にとどまる場合に、採用選考時に確認することに合理性・必要性があるか、公正な採用選考の観点を踏まえ、慎重に判断することが求められます。なお、確認の際は、求職者にその必要性を十分に説明することが望ましいと考えられます。

ポイントをまとめると——

  • 必ず対象業務に就くわけではない職種(総合職など)については、確認することの合理性・必要性を慎重に判断する必要がある
  • 求職者への説明が望ましい——なぜ確認するのかを丁寧に伝えることが求められる
  • 公正な採用選考の観点を忘れてはならない

03|地方公務員の場合(Q&A 7-4-3)

行政事務職など、配属によってはこどもと接する業務に従事する場合もある職種について、採用選考段階から誓約書等で性犯罪前科を確認できるかという問いには、こう答えています。

地方公務員法において、職員の任用は、競争試験や選考採用試験の成績等により行われることとされており(成績主義の原則)、その任用に係る職における標準職務遂行能力及び適性の有無を正確に判定することが求められています。

そのうえで——

行政事務職等の採用選考過程において、誓約書等により特定性犯罪前科の有無を確認することについては、採用選考時に特定性犯罪前科の有無を確認することに合理性・必要性があるか、個別のケースに応じて慎重に検討する必要があります。

地方公務員については、成績主義の原則(試験の成績で採用を決める)があるため、性犯罪前科の確認が採用の可否に直結することへの慎重さが求められています。民間企業以上に、個別ケースごとの丁寧な検討が必要です。


04|実務上、押さえておきたいこと

今回のQ&Aを踏まえ、実務上のポイントを整理します。

  • 「確認できる」=「何も考えずにやっていい」ではない——合理性・必要性・公正性の3つの観点から慎重に判断することが前提です
  • 誓約書を使う場合は、目的を明確に——「なぜこどもと接する業務がある職場で確認が必要なのか」を求職者に説明できるようにしておくことが求められます
  • 就業規則との整合性を確認する——誓約書で虚偽申告があった場合に懲戒処分・内定取消しができるよう、就業規則に根拠規定を設けておくことが重要です
  • 採用後の犯罪事実確認も必要——誓約書はあくまで申告ベース。DBS法に基づく正式な犯罪事実確認は、採用後に別途行う必要があります

「誓約書の文面を整えたい」「就業規則にどう盛り込めばいいか相談したい」という幼稚園・保育所・学校・学習塾・スポーツクラブなど、こどもと接する事業を営む事業者の方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。

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