退職金を銀行に預けたら、投資信託を勧められた——「おすすめ」は誰のためのおすすめですか?

5月15日のブログで、60歳で退職した先輩に繰り上げ年金の話をしたことをお伝えしました。実はその話の続きがあります。

先輩の退職金の運用についてです。

信託銀行に預入期間3か月・金利7%という退職金専用定期預金に預け、残り半分は投資信託にしたとのことでした。「なんか良くないんじゃないかって、今更ながら気になって」と言われたのです。

FP2級を持つ私は、率直にお伝えしました。


01|退職金専用定期預金の仕組み

「3か月7%」と聞くと、とてもお得に感じます。でも冷静に考えてみましょう。

退職金専用定期預金とは、退職金を受け取った直後の方だけが利用できる期間限定の高金利商品です。

  • 高金利が適用されるのは最初の3か月だけ
  • 3か月後は通常の金利(現在はごくわずか)に戻る
  • 多くの場合、投資信託とセットで勧められる

先輩はこの仕組みを知った上で預けていました。それ自体は問題ありません。問題は、セットで勧められた投資信託の中身をよく確認しないまま契約してしまったことです。

02|「おすすめ」は誰のためのおすすめか

先輩はこう言っていました。

「銀行の担当者にすすめられたものにしました。よくわからなくて。」

ここが一番大切なポイントです。

銀行・信託銀行・証券会社のおすすめは、あなたにとってのおすすめではなく、銀行にとってのおすすめである場合があります。

なぜなら、投資信託には銀行側に収益が入る仕組みがあるからです。

  • 購入時手数料:購入金額の数%が販売会社(銀行等)に入る
  • 信託報酬:保有している間、毎年一定割合が運用会社・販売会社等に入る

たとえば購入時手数料が3%であれば、100万円の投資信託を買った瞬間に3万円が手数料として引かれます。信託報酬が年1.5%であれば、100万円を保有し続けるだけで毎年1万5,000円がコストとしてかかります。

合わせて計算すると——

  • 買った瞬間に:3万円(購入時手数料3%)
  • 持っているだけで毎年:1万5,000円(信託報酬1.5%)
  • 10年保有した場合の手数料合計:3万円+1万5,000円×10年=18万円(※あくまで概算です)

元本が増えていなければ、手数料だけで資産が18万円減っていく計算です。「よくわからないまま契約する」のが、一番危ない選択なのです。

03|何を確認すべきだったか

投資信託を購入する際に、最低限確認してほしいことがあります。

  • 何に投資している商品か(株式?債券?国内?海外?)
  • 購入時手数料はいくらか(ノーロード=手数料無料の商品もある)
  • 信託報酬は年何%か(低コストのインデックスファンドは0.1%台のものもある)
  • 過去の運用実績はどうか(ただし過去の実績が将来を保証するわけではない)

これらを自分で比べずに「おすすめだから」だけで決めるのは、退職金という大切なお金を預けるには慎重さが足りません。

04|退職金は「特別なお金」だからこそ慎重に

退職金は、長年働いてきた証として受け取る、一生に一度のまとまったお金です。

退職直後は気が大きくなりやすく、銀行の担当者に勧められると断りにくい心理状態になりがちです。そこを狙ったように、退職後すぐに銀行から声がかかります。

先輩に私がお伝えしたのはこういうことです。

「銀行のおすすめは、銀行にとってのおすすめです。自分にとってのおすすめかどうかは、自分で確認しなければわかりません。」

退職金の運用を考えるときは、販売会社(銀行・証券会社)ではなく、利益相反のない立場の専門家に相談することをおすすめします。


「退職金の運用について相談したい」「今持っている投資信託のコストが高くないか確認したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士・FP2級のトリプルライセンスで、年金・保険・家計の観点からトータルにサポートします。

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