採用の段階からDBS法対応が必要です——募集要項・誓約書・内定通知書の見直しポイント

DBS法(こども性暴力防止法)の準備というと、就業規則の整備や研修に目が向きがちです。でも、実は採用の段階からDBS法への対応が必要なのをご存じですか?

「採用してから犯罪事実確認をすればいい」と思っていると、内定取消しが困難になるケースがあります。今回は、こども家庭庁のQ&A(基礎編7-4)と義務事業者用準備ガイドをもとに、採用段階での対応ポイントをお伝えします。


01|なぜ採用段階からの対応が必要なのか

犯罪事実確認は、原則としてこどもと接する業務に従事する前に行うことが必要です。

確認の結果、特定性犯罪事実該当者であることが判明した場合、事業者は防止措置として内定取消しを行うことになります。

しかし、内定取消しは法的にリスクがある行為です。採用選考の段階で適切な対応をしておかないと、後から内定取消しを行う際に法的な問題が生じる可能性があります。

だからこそ、Q&Aでは、採用選考過程において事前に3つの対応をしておくことを求めています。

02|採用募集要項に「特定性犯罪前科がないこと」を明示する

Q&Aでは、採用募集要項の採用条件に、特定性犯罪前科がないことを明示することが適当とされています。

つまり、求人票や採用募集要項に、次のような文言を入れることが求められます。

(記載例)

本業務への従事にあたっては、令和8年12月25日に施行予定の「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」(令和6年法律第69号。以下「こども性暴力防止法」といいます。)に基づき、特定性犯罪の前科の有無を確認するための犯罪事実確認が必要となります。特定性犯罪の前科がある場合(特定性犯罪事実該当者の場合)は、こども性暴力防止法に基づき、本業務に従事させないこと等の措置を講じる必要があるため、当法人の採用条件の一つとして、特定性犯罪の前科がないことを求めることとしています。このため、予め、採用選考過程において、誓約書や履歴書等により、特定性犯罪の前科の有無を確認いたします。

この記載により、応募者は「採用条件として特定性犯罪前科がないことが求められている」ことを事前に知ることができます。

03|内定前(履歴書提出時)に誓約書等で確認する

Q&Aでは、内定前(履歴書提出時)の誓約書等を通して、特定性犯罪前科の有無を明示的に確認することが適当とされています。

採用選考の過程で、応募者に対して「特定性犯罪の前科がない」ことを誓約書や履歴書等で確認しておくことが必要です。

この手続きを踏んでおくことで、後から犯罪事実確認によって特定性犯罪事実該当者であることが判明した場合に、「採用選考過程で確認していたにもかかわらず虚偽申告があった」として、内定取消事由(重要な経歴の詐称)に該当することになると考えられます。

04|内定通知書等に内定取消し事由を定めておく

資料では、内定通知書等に内定取消し事由として「重要な経歴の詐称」を定めておくことが適当とされています。

内定通知書や雇用契約書に「重要な経歴の詐称があった場合は内定を取り消す」旨を明記しておくことで、内定取消しの法的根拠を整えておくことができます。

この3つの対応がセットになっています。

  • 募集要項に採用条件を明示する
  • 誓約書等で内定前に確認する
  • 内定通知書に内定取消し事由を定める

この3つを整えておくことで、犯罪事実確認の結果を踏まえた内定取消しを、法的に適切に行うことができるようになります。

05|就業規則の整備とセットで進める

採用段階での対応は、就業規則の整備とセットで進める必要があります。

就業規則には、次の内容を定めておくことが求められています(義務事業者用準備ガイド2-③)。

  • 対象業務従事者の範囲
  • 児童対象性暴力等及び不適切な行為の禁止
  • 犯罪事実確認の手続に応じる義務
  • 試用期間の解約事由
  • 懲戒事由

採用募集要項・誓約書・内定通知書の記載と、就業規則の規定が整合していることが大切です。「募集要項には書いてあるが、就業規則に規定がない」という状態では、いざというときに対応が難しくなります。

「採用してから対応すればいい」では遅い

DBS法の施行日は2026年12月25日です。施行後は、新規採用の方は従事前に犯罪事実確認が必要になります。

今から採用活動を行っている場合も、来年以降の採用を見据えて、今のうちに募集要項・誓約書・内定通知書の書式を整えておくことをおすすめします。

「採用してから対応すればいい」と思っていると、いざ確認の結果が出たときに、内定取消しを適法に行う根拠がないという事態になりかねません。


「募集要項や誓約書の書式を整えたい」「就業規則の整備とあわせて相談したい」という幼稚園・保育所・学校、学習塾・スポーツクラブなど、こどもと接する事業を営むすべての事業者の方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。

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