「決めるだけ」では不十分。こども性暴力防止法が求める「不適切な行為」の周知とは

こども性暴力防止法(日本版DBS)への対応を進めている事業者の方から、こんな声をよく聞きます。

「不適切な行為の範囲は決めました。就業規則にも盛り込みました。これで大丈夫ですよね?」

実は、それだけでは不十分です。ガイドラインは、「決める」だけでなく「周知する」ところまでを求めています。


01|「不適切な行為」とは何か

5月4日のブログにも書きましたが、こども性暴力防止法では、性暴力そのものだけでなく、「不適切な行為」への対応も事業者に求めています。

不適切な行為とは、それ自体は性暴力には該当しないものの、継続・発展することによって性暴力につながり得る行為のことです。たとえば次のようなものが挙げられています。

  • こどもとSNSで私的なやり取りをする
  • 私的な端末でこどもの写真を業務外の目的で撮影する
  • こどもと二人きりで私的に会う
  • 不必要な身体接触を行う
  • 特定のこどもばかり理由なく担当しようとする

ただしこれらは一律に「不適切」と判断されるものではなく、事業の内容、こどもの発達段階、現場の状況によって変わり得るとされています。だからこそ、各事業者が自分たちの実態に合わせて内容を決める必要があるのです。

02|決めるだけでは足りない——「周知」が義務

こども家庭庁のQ&Aやガイドラインでは、不適切な行為の範囲を定めた場合、対象業務従事者(スタッフ)だけでなく、こども・保護者等にも周知を行うことが必要と明記されています。

ここで一点、重要なことをお伝えします。「周知」の要件は、法律の条文には書かれていません。ガイドライン事項として求められているものです。だからといって軽く見ていいわけではなく、こども家庭庁がガイドラインで繰り返し強調している、実務上欠かせない対応です。

つまり、就業規則に盛り込んだだけでは不十分です。「うちの職場ではこういう行為を不適切と定めています」ということを、関係者全員に伝えるところまでが求められています。

また、不適切な行為の内容を決めるプロセスにも注意が必要です。ガイドラインでは、現場で実際に働く従事者とコミュニケーションを取りながら決めることが求められています。「職場が過度に萎縮しないよう配慮しつつ」という言葉が使われていることも、とても重要なポイントです。

03|具体的に何をすればいいか

「周知」といっても、特別な方法が決まっているわけではありません。書面でなくても構いません。事業の規模や形態に合わせて、次のような方法が考えられます。

  • スタッフへの周知:就業規則への明記に加え、研修・朝礼・掲示板・配布資料などで伝える
  • こども・保護者への周知:入会時の説明資料、掲示物、ウェブサイト、お便りなどで伝える
  • 決め方のプロセス:スタッフと話し合いの場を設け、現場の実態に即した内容にする

特に保護者への周知は、「うちの施設はこどもの安全について真剣に取り組んでいる」というメッセージにもなります。信頼獲得の観点からも、丁寧に行うことをおすすめします。

また、方法は書面でなくても構いませんが、「いつ、誰に、何を伝えたか」の記録を残しておくことが実務上とても重要です。万一トラブルが起きたときに「周知した」という証拠になります。研修の受講記録、朝礼のメモ、配布資料の控えなど、形を問わず記録を積み重ねておきましょう。

04|社労士・行政書士として、こんなお手伝いができます

「不適切な行為」を就業規則に盛り込む作業は、社会保険労務士の専門業務です。職場の実態に合った内容を、労働関係法令に沿って整備します。

また、採用時の性犯罪前科に関する誓約書・同意書などの書類作成は、行政書士法に定める「権利義務に関する書類」に該当し、行政書士の専門業務です。なお、保護者やこどもへのお便り・掲示物などの説明資料は誰でも作成できますが、法的効力が必要な書類については行政書士にご相談ください。

社労士・行政書士のダブルライセンスを持つ私なら、就業規則の整備から周知書類の作成まで、ワンストップで対応できます。

「何から手をつければいいかわからない」「うちの事業が対象かどうか確認したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

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