特定性犯罪の確認結果が届いたら——事業者がやるべきこと、やってはいけないこと

犯罪事実確認の交付申請をして、結果が届いた。

さて、そのとき事業者は何をすればいいのでしょうか。そして、何をしてはいけないのでしょうか。

「結果の見方がわからない」「該当者だったらどう動けばいいの?」「この情報、誰かに相談していいの?」——いざ結果が届いたときに慌てないよう、今のうちに流れを把握しておきましょう。こども家庭庁のQ&Aをもとに、正確にお伝えします。


01|犯罪事実確認書は、こまもろうシステム上で届きます

犯罪事実確認の結果は、「犯罪事実確認書」として、こまもろうシステム上で事業者に交付されます。紙の書類が郵送されてくるわけではありません。

犯罪事実確認書には、その従事者が「特定性犯罪事実該当者」であるか否かが記載されています。

なお、標準処理期間は、日本国籍の場合は2週間〜1か月程度、外国籍の場合は1〜2か月程度とされています。

02|「該当なし」だった場合

確認の結果、特定性犯罪事実該当者に「該当しない」と記載されていた場合——まずは安心してください。

ただし、ここで気をつけていただきたいのは、犯罪事実確認は「一度やって終わり」ではないということです。前回の確認日の翌日から5年を経過する日の属する年度の末日までに、再度確認を行う必要があります。つまり、5年が経過する前に、次の確認を完了させなければならないのです。

また、犯罪事実確認は「過去に特定性犯罪で有罪判決を受けたかどうか」を確認するものです。「この人は絶対に安全」ということを保証するものではありません。犯罪事実確認に加えて、日常的な安全確保措置(研修・観察・相談体制など)を併せて行うことが、こどもを守るために不可欠です。

03|「該当あり」だった場合——まず知っておくべきこと

確認の結果、特定性犯罪事実該当者に「該当する」と判明した場合。考えたくはありませんが、このケースへの備えが最も重要です。

まず知っておいていただきたいのは、事業者に犯罪事実確認書が交付される前に、従事者本人に回答内容が事前に通知されるという点です。つまり、事業者が結果を見る前に、本人はすでに結果を知っています。

そのうえで、事業者は以下の対応を行います。

04|「該当あり」の場合、事業者がやるべきこと

① 防止措置を講じる

特定性犯罪事実該当者であることが判明した場合、事業者は「防止措置」を講じなければなりません。具体的には、その人の雇用段階によって対応が異なります。

  • 新規採用の内定者 → 内定取消し
  • 試用期間中の者 → 本採用拒否
  • 現職者 → 配置転換等により、こどもと接する業務に従事させないこと

いずれの場合も、労働関係法令を遵守した対応が必要です。だからこそ、結果が届いてから就業規則を整備するのでは遅いのです。防止措置を適法に行うための根拠(懲戒事由、配置転換の規定など)を、あらかじめ就業規則に定めておく必要があります。

② 「おそれがある事実」は伝えられるが、確認結果そのものは伝えられない

防止措置を講じるにあたり、従事者に対して「児童対象性暴力等が行われるおそれがある」という事実を伝えることはできます。しかし、犯罪事実確認の結果そのもの(「あなたは特定性犯罪事実該当者です」など)を伝えることは、こども性暴力防止法第12条に違反します。

この区別はとても重要です。「おそれがあるから配置転換します」とは言えますが、「前科があったから」とは言えません。

05|やってはいけないこと——情報管理の厳守

犯罪事実確認の結果は、極めて機微な個人情報です。やってはいけないことを、はっきり確認しておきましょう。

  • 結果を本人に伝えてはいけない——犯罪事実の有無の情報は、従事者本人に対しても開示できません(本人には事前にこども家庭庁から直接通知されます)
  • 結果をみだりに他人に教えてはいけない——法に基づく刑事罰が科されるだけでなく、民事上の損害賠償請求の対象にもなり得ます
  • 必要最低限の人だけで対応する——防止措置の検討・実施のために同一事業者内で共有することは認められていますが、「必要最低限の関係者間」に限定する必要があります
  • こまもろうシステム外での記録・保存は極力避ける——やむを得ず記録する場合は、情報管理規程に沿って厳格に管理する

06|結果が届く前に、準備しておくべきこと

犯罪事実確認の結果は、いつ届くかわかりません。届いてから慌てないよう、今のうちに以下の準備を進めておいてください。

  • 就業規則の整備——防止措置を適法に行うための懲戒事由、配置転換の根拠を定めておく
  • 情報管理規程の策定——犯罪事実確認の結果を誰が、どのように管理するかを決めておく
  • 対応フローの確認——「該当あり」だった場合に、誰が最初に確認し、誰に共有し、どう動くか。あらかじめ決めておけば、冷静に対応できます
  • 専門家との連携体制——「該当あり」の場合、労務上のデリケートな判断が求められます。まずは顧問の社労士に相談し、必要に応じて弁護士とも連携できる体制を確保しておくことをおすすめします

結果が届いてから「どうしよう」では、遅いのです。今できる準備を、今のうちに。


「結果が届いたときの対応フローを整備したい」「就業規則と情報管理規程をあわせて相談したい」という幼稚園・保育所・学校、学習塾・スポーツクラブなど、こどもと接する事業を営むすべての事業者の方は、ぜひ一度ご相談ください。当事務所では、学校法人さまへDBS法対応の就業規則一式および情報管理規程を納品した実績がございます。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。

\ 最新情報をチェック /