そのクラウドサービス、本当にISMAP登録されていますか?——DBS法の情報管理規程で見落としがちなこと
当事務所では、DBS法(こども性暴力防止法)対応の就業規則を納品する際、情報管理規程もあわせてお作りしています。
この情報管理規程、実際に作ってみると、なかなか一筋縄ではいきません。特に「記録の保存あり」の型を選んだときに、技術的な要件のハードルがぐっと上がることがわかってきました。
今日は、その中でも特につまずきやすい「ISMAP基準」について、お話しします。
「多要素認証」はわかる。でも「ISMAP基準」は?
こども家庭庁が示している情報管理規程のひな型には、記録・保存を行う場合の技術的措置として、こんな一文があります。
「ISMAP基準を満たし、国内法が適用される拠点にデータを保存できるクラウドサービスを選定する。」
多要素認証——パスワードに加えて、ICカードや生体認証などを組み合わせる仕組み——については、なんとなくイメージできる方が多いと思います。
でも、「ISMAP基準を満たす」と言われて、具体的に何を確認すればいいのか、すぐにピンとくる方は少ないのではないでしょうか。
ISMAPとは、政府機関等がクラウドサービスを調達する際に、セキュリティ水準を評価・登録する制度です。
私は以前、行政の現場に長く身を置いていたこともあり、この制度には馴染みがあります。ですが、労務の専門家であっても、この分野まで正確に理解している方は、決して多くないというのが実感です。
「会社」ではなく「製品」で見る、という落とし穴
ここで特に注意したいのが、ISMAPは会社単位ではなく、サービス・製品単位で登録されるという点です。
同じ会社が提供しているサービスであっても——
- Aというクラウドサービスは、ISMAP登録済み
- Bというクラウドサービスは、同じ会社の提供でも未登録
ということが、普通に起こります。
「大手のクラウドサービスだから」「有名な会社の製品だから」という理由だけで安心してしまうと、実際に使っているサービスは対象外だった、ということになりかねません。
規程には「ISMAP基準を満たすクラウドサービスを選定する」と書いてあるのに、運用の実態が伴っていない——これでは、せっかく作った規程が「お守り」ではなく「見せかけ」になってしまいます。
だからこそ、丁寧な話し合いが必要です
情報管理規程は、こども家庭庁のひな型をベースにしながらも、各施設の実情に合わせて調整していくものです。
特に「記録・保存あり」の型を選ぶ場合は、次のことを事前にすり合わせておくことをおすすめします。
- そもそも、独自の記録・保存が本当に必要か(多くの場合、記録・保存を行わない型で足りることもあります)
- 記録・保存が必要な場合、実際に使うクラウドサービスがISMAP登録されているか
- 登録の有無を、誰が、どのタイミングで確認・維持管理していくか
ひな型の文言をそのまま当てはめるだけでは、実態に合わない規程になってしまいます。専門用語の意味を正しく理解した上で、その施設に合った形に落とし込む——それが、規程を「使えるもの」にする一番の近道だと感じています。
「情報管理規程を作りたいけれど、何から手をつけていいかわからない」「今使っているクラウドサービスで大丈夫か確認したい」という幼稚園・保育所・学校、学習塾・スポーツクラブなど、こどもと接する事業を営むすべての事業者の方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。


