「個人の責任追及」ではなく「組織の改善」を——DBS法が求める再発防止の考え方
こども性暴力防止法(日本版DBS)では、児童対象性暴力等の疑いが生じた場合、事業者は調査や対応を行うだけでなく、再発防止策を検討・実行することが求められています。
「再発防止」と聞くと、「原因を突き止めて、その人を処分すればいい」と考えがちです。でも、こども家庭庁が求めている再発防止の考え方は、それとはまったく違います。
01|再発防止策で大切な3つの視点
こども家庭庁の資料によると、再発防止策を検討する際に、次の3つの点に留意するよう示されています。
- 個別事案の原因だけでなく、その背景にある要因や、組織・運営における根本的な課題を踏まえること
- 個人の責任追及ではなく、客観的にどのようにすれば再発防止できるかを議論すること
- どのように組織文化や体制を改善していくことができるかという観点で検討すること
つまり、「誰が悪いのか」を追及するのではなく、「なぜ起きたのか」「組織として何を変えればいいのか」を考えることが求められているのです。
02|なぜ「個人の責任追及」ではダメなのか
問題が起きたとき、「あの人が悪い」と個人に責任を集中させるのは、一見わかりやすい対応です。
でも、それだけで終わらせてしまうと、根本的な問題は解決しません。
たとえば——
- こどもと従事者が二人きりになりやすい動線や環境が放置されていなかったか
- 相談しやすい雰囲気が職場にあったか
- 報告ルールや対応ルールが従事者に周知されていたか
- 研修は十分だったか
こうした「組織の側にあった問題」を見つけて改善しなければ、人が入れ替わっても同じことが繰り返される可能性があります。
再発防止とは、「問題が起きにくい組織をつくること」です。
03|「疑い」が事実と認められなかった場合でも
資料には、もうひとつ重要な指摘があります。
調査の結果、児童対象性暴力等があったという事実が認められなかった場合でも、事業者としてやるべきことがあるとされています。
- 疑いが生じたことを重く受け止めること
- 対象業務従事者の人権への配慮を考慮しつつも、両者の接触を極力避けるなど、被害を申告したこどもの心身の安全・安心に十分配慮すること
- そのこどもにとって安全・安心な居場所となるよう事業運営を行うこと
- 疑いが再度生じないよう、死角をなくすことや、研修等を通じて服務規律等を再度周知するなどの対応を検討・実施すること
「事実が認められなかったから、何もしなくていい」ではないのです。疑いが生じたこと自体を、組織を見直すきっかけにする——その姿勢が求められています。
04|再発防止は「前向きな組織づくり」
再発防止策というと、「二度と起こさないための対策」という後ろ向きな印象を持つかもしれません。
3つの視点——「背景にある課題」「個人ではなく組織」「組織文化の改善」——は、そのまま「より良い組織をつくるための取り組み」でもあります。
こどもが安心して過ごせる環境、先生が安心して働ける環境。そういう組織をつくることが、結果として最も効果的な再発防止策になるのだと思います。
「再発防止策をどう整備すればいいかわからない」「組織体制の見直しについて相談したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。


