「報告ルール」と「対応ルール」とは?——DBS法で事業者が事前に定めておくべき2つのルール
前回のブログでは、こどもへの性暴力等の疑いが生じたときの対応の流れ(報告・初期対応・調査)について、全体像をお伝えしました。
今回はその中でも特に重要な、事前に定めておくべき「報告ルール」と「対応ルール」について、詳しく掘り下げます。
「報告ルールって何?」「対応ルールとどう違うの?」——名前は似ていますが、役割がはっきり分かれています。2つのルールを詳しく解説します。
01|なぜ「2つのルール」が必要なのか
こどもへの性暴力等の疑いが生じたとき、組織が迷わず動けるようにするためには、「誰が・いつ・何を・どう動くか」を事前に決めておくことが欠かせません。
その仕組みが、2つのルールに分かれています。
- 報告ルール:疑いを把握した従事者が、組織に「報告する」ためのルール
- 対応ルール:報告を受けた組織が、「対応する」ためのルール
「現場が気づく→組織に伝える(報告ルール)」「組織が受け取る→動く(対応ルール)」という流れです。この2つが揃って初めて、いざというときに組織が機能します。
02|報告ルール——現場から組織へ「伝える」仕組み
報告ルールは、従事者が児童対象性暴力等の疑いを把握した場合に、組織に適切な報告を行い、必要な対応につなげるために定めるものです。
次の3つの内容を含める必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報告方法 | どのように報告するか(直ちに報告する等) |
| 報告先 | 誰に報告するか |
| 報告内容 | 何を伝えるか |
さらにQ&Aでは、報告しやすくする工夫として、次の2つが重要だとされています。
- 事業者内部に匿名通報窓口を設定すること
- 従事者向けの外部通報窓口等を周知すること
「報告したことで自分が不利益を受けるのでは」という不安があると、現場は報告をためらいます。匿名で通報できる窓口や、社外の通報先を用意しておくことで、現場が安心して声を上げられる仕組みになります。
03|対応ルール——組織が「動く」仕組み
対応ルールは、組織として児童対象性暴力等の疑いの報告を受けた後、迅速かつ的確な対応を行うために、事業者が講ずべき措置の内容をあらかじめ定めておくものです。
次の内容を定める必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応者 | 誰が対応するか |
| 対応事項 | 何を行うか |
| 対応手順 | どのような手順で進めるか 等 |
報告を受けてから「さて、誰が対応する?」「何から手をつける?」と考えているようでは、対応が後手に回ります。あらかじめ対応者・対応事項・対応手順を決めておくことで、報告を受けた瞬間から組織が迷わず動けるのです。
04|こども家庭庁が「ひな型」を公表しています
「ルールをゼロから作るのは大変そう」と感じるかもしれません。
ご安心ください。こども家庭庁は、これらのルールのひな型を作成・公表しています。「こども性暴力防止法に基づく措置を行うに当たって活用できる各種ひな型・参考例 リンク集」(こども家庭庁)から入手できます。
ただし、ひな型はあくまで「型」です。自社の組織体制・職員構成・業務の実態に合わせて調整することが必要です。報告先や対応者を自社の体制に合わせて具体的に定め、全従事者に周知して初めて、実効性のあるルールになります。
「報告ルール・対応ルールをどう自社に落とし込めばいいかわからない」「就業規則や規程の整備とあわせて相談したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。


