280万人を3年で確認する——施行時現職者の犯罪事実確認、「分散申請」の全体像(こども家庭庁通知)

DBS法(こども性暴力防止法)が施行されると、こどもと接する業務に従事するすべての人について、犯罪事実確認が行われます。

では、施行日の時点ですでに働いている人——「施行時現職者」は、いつ、どのように確認されるのでしょうか。

2026年(令和8年)7月8日、こども家庭庁から「施行時現職者の犯罪事実確認書の交付申請の分散方法について」という通知が発出されました。その中身を、正確にお伝えします。


01|施行時現職者は、全国で約280万人

通知によれば、施行時現職者は全国で約280万人(推計)とされています。

幼稚園、保育所、学校、児童福祉施設、認定こども園——こどもと接する業務に従事するすべての現職者が対象です。

280万人。この数を、施行日から3年以内にすべて確認しなければなりません。一度にやれば、システムも行政もパンクしてしまいます。だから、計画的に「分散」して確認する仕組みが設けられました。

02|スケジュールの全体像

分散申請のスケジュールは、次のようになっています。

施行日(令和8年12月25日)〜 令和9年3月
この期間は、新規採用者の優先確認期間です。施行時現職者の犯罪事実確認は行いません。令和9年4月に採用される新規採用者や異動者の確認を優先的に処理するための期間です。

令和9年4月 〜 令和11年6月(27か月間)
施行時現職者の犯罪事実確認は、原則としてこの27か月間に行います。約280万人を27か月で分散して確認していく計算です。

令和11年7月 〜 令和11年12月24日(猶予期間)
27か月間で確認が完了しなかった場合の猶予期間です。この期間中に、必ず確認を完了させなければなりません。

令和11年12月24日を過ぎても確認が終わっていない場合
犯罪事実確認義務違反となります。

つまり、「3年あるから大丈夫」ではなく、実質的には27か月間で計画的に進める必要があるのです。

03|「いつ自分の番が来るかわからない」——ランダム性の意味

通知の中で、注目すべき記述があります。

「施行時現職者に予見可能性(あと2年は確認されないなど)を持たせないため、区分の順番はランダム性を持たせるようにお願いします。」

なぜ、ランダム性が必要なのでしょうか。

もし確認の順番が「あ行の人から」「採用が古い順から」と公表されていたら、自分の番がいつかおおよそわかります。「自分の番はまだ2年先だ」とわかった人が、その前に退職してしまう——そうしたリスクを防ぐために、順番にランダム性を持たせているのです。

事業者にとっては、「いつ通知が来てもおかしくない」ということを意味します。通知が来てから慌てるのではなく、今のうちに準備を進めておくことが大切です。

04|「施行時現職者」とは、具体的に誰のことか

通知では、施行時現職者の定義も明確にされています。

施行時現職者とは——

  • 法の施行の際、現に教員等としてその本来の業務に従事している者
  • 施行日の前日までに当該業務に従事させることを決定していた者であって、施行日後に当該業務に従事させる者

さらに、次の方も施行時現職者に含まれます。

  • 育児休業・介護休業・産前産後休業を取得中の教員等
  • 派遣労働者や請負事業主、委託先の事業者に雇用される労働者(犯罪事実確認は派遣先・発注元・委託元の事業者が行います)

「休業中だから対象外」「派遣さんだから対象外」ということはありません。対象となる業務に従事している(または従事させることが決まっている)すべての人が、施行時現職者に該当します。

05|今のうちにできること

分散申請の具体的な時期は、所轄庁から通知されます。いつ通知が来るかは、都道府県によって異なります。

でも、通知を待ってから準備を始めるのでは遅すぎます。通知が来たときに慌てないよう、今のうちにできることがあります。

  • 施行時現職者の洗い出し——「うちの施設で、誰が対象になるのか」を把握しておく
  • 就業規則の整備——犯罪事実確認の手続きに関する規定、懲戒事由などを定めておく
  • 研修の実施——施行前に、対象となる全従事者に研修を受講させる必要があります
  • 従事者への事前説明——マイナンバーカードの準備や戸籍情報の提出が必要になることを伝えておく

280万人の確認が始まります。あなたの施設にも、必ずその順番は来ます。「まだ大丈夫」ではなく、「いつ来てもいいように」——今のうちから備えてください。


「施行時現職者の洗い出しから始めたい」「就業規則の整備を進めたい」という幼稚園・保育所・学校、学習塾・スポーツクラブなど、こどもと接する事業を営むすべての事業者の方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。

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