園の中でやっている英会話教室、犯罪事実確認は誰の責任?——「場所を貸しているだけ」と「園の事業」の違い

幼稚園や保育所で、放課後や土曜日に英会話教室や体操教室が開かれていることは珍しくありません。

保護者から見ると、「園の中でやっている教室」は全部、園が運営しているように見えます。でも実際には、園が外部の事業者に場所を貸しているだけ、というケースも多いのです。

DBS法(こども性暴力防止法)では、この「園の事業として実施しているのか」「場所を貸しているだけなのか」によって、犯罪事実確認の責任の所在がまったく変わります。こども家庭庁の資料をもとに、正確に整理します。


01|2つのケースで、責任が分かれます

資料では、学校や保育所の施設を使って外部の事業者がこども向けの教室を行う場合について、2つのケースに分けて説明しています。

ケース①:園の事業として実施する場合

学校や保育所の事業として実施する場合は、その指導者が外部の委託先であっても、学校設置者等において犯罪事実確認を行うことが必要となります。

つまり、園のカリキュラムの一環として英会話教室を行い、外部の講師に委託しているようなケースでは、犯罪事実確認の責任は園側にあります。講師が外部の人であっても、です。

ケース②:場所を貸しているだけの場合

学校や保育所の施設を利用していても、場所を貸しているだけなどにとどまり、学校や保育所の事業とは全く別の事業として、こどもへのサービスが提供されるものである場合には、そのサービスの実施主体である事業者が犯罪事実確認を行う必要があります。

園が「うちの空き教室を使っていいですよ」と貸しているだけで、教室の運営は外部の事業者が行っている場合は、犯罪事実確認の責任は外部の事業者側にあります。

02|この区別、現場であいまいになっていませんか?

問題は、この区別が現場であいまいになっているケースが少なくないことです。

  • 園のおたよりに「英会話教室のお知らせ」として掲載されている
  • 月謝を園がまとめて集金して、外部事業者に渡している
  • 園の先生が教室の準備や見守りを手伝っている
  • 保護者は「園の教室」だと思って申し込んでいる

こうした状況では、外部事業者の教室であっても、保護者から見れば「園がやっている教室」に見えてしまいます。実際に園の事業として位置づけられているのか、場所を貸しているだけなのか——その線引きがあいまいなまま運営されていると、「誰も犯罪事実確認をしていない」という空白が生まれる危険があります。

03|「誤解されない仕組み」を作っておく

資料では、認定事業者マーク(こまもろうマーク)についても、認定を受けていない事業が認定を受けているかのような誤解が生じてはならないとされています。

この「誤解防止」の考え方は、場所を貸している場合にもそのまま当てはまります。

保護者が「園の教室だと思っていたのに、実は外部事業者の教室で、犯罪事実確認もされていなかった」——こうした誤解が生じないよう、園と外部事業者の関係を明確にしておくことが大切です。

具体的には、次のような対策が考えられます。

  • 月謝は、保護者から外部事業者に直接支払ってもらう——園が集金を代行すると、保護者は「園の教室」だと誤認しやすくなります。外部事業者に直接支払う形にすることで、「これは園とは別の事業者のサービスです」ということが明確になります
  • 保護者向けのお知らせに、運営主体を明記する——「この教室は○○社が運営しています。園は施設の利用を許可しているものであり、教室の運営には関与しておりません」と一言添える
  • 契約関係を整理する——園と外部事業者の間で、「場所の貸与」に関する契約書を交わし、事業の実施主体がどちらであるかを書面で明確にしておく

04|外部事業者が認定を受けているか、確認していますか?

場所を貸しているだけの場合、犯罪事実確認の責任は外部事業者側にあります。

では、その外部事業者は、きちんと認定を受けて犯罪事実確認を行っているでしょうか?

「うちは場所を貸しているだけだから関係ない」と思っていても、保護者から見れば「園の中でやっている教室」です。もしその教室で何か問題が起きたとき、「あれは外部の事業者なので、うちは関係ありません」と言っても、保護者の理解を得るのは難しいでしょう。

場所を貸す以上、相手の事業者がDBS法にきちんと対応しているかどうかを確認しておくことも、園としての責任ある対応だと思います。

05|「うちの園ではどっち?」を確認してください

まとめると——

  • 園の事業として実施→犯罪事実確認は園の責任
  • 場所を貸しているだけ→犯罪事実確認は外部事業者の責任
  • どちらかあいまいなままにしておくのが、一番危険

今、園の中でこども向けに行われている教室や活動について、「これは園の事業なのか、場所を貸しているだけなのか」を、ひとつずつ確認してみてください。

その確認が、こどもを守ることにも、園を守ることにも、つながります。


「外部事業者との契約関係を整理したい」「就業規則の整備とあわせて相談したい」という幼稚園・保育所・学校、学習塾・スポーツクラブなど、こどもと接する事業を営むすべての事業者の方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。

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