「グルーミング(性的手なずけ)」とは何か——DBS法が研修で必ず学ぶよう求める理由
DBS法(こども性暴力防止法)では、対象となるすべての従事者に研修を受けさせることが、事業者に義務づけられています。その研修で必ず学ぶことになっている項目の一つが、「グルーミング(性的手なずけ)」です。
「グルーミングって何?」と思われた方も多いと思います。でも、こどもと接する仕事をする人が必ず知っておくべき概念です。今日は、グルーミングとは何か、なぜDBS法がこれを研修項目に含めているのかをお伝えします。
01|グルーミングとは何か
グルーミング(性的手なずけ)とは、性的な接触・行為を目的に、大人がこどもに近づき、信頼関係を築きながら徐々に手なずけていく行為のことです。
「グルーム(groom)」には「仕込む」「手入れする」という意味があります。動物の「毛づくろい」という意味でも知られていますが、性犯罪の文脈では「こどもを性的な行為に向けて仕込んでいく」という意味で使われます。
グルーミングは、いきなり性的な行為に及ぶのではありません。時間をかけて信頼を得て、こどもの心理的な抵抗感を少しずつ取り除いていく——だからこそ、こどもも保護者も気づきにくいのです。
02|グルーミングはどのように進むのか
グルーミングには、典型的なプロセスがあります。

このプロセスを見ると、なぜDBS法が「こどもと職員が1対1になる状況を作らない」「SNSでの私的なやり取りを禁止する」といった安全確保措置を求めているのかが、よく理解できます。
03|なぜ「知っている人」が加害者になるのか
グルーミングの加害者は、見知らぬ人ではないことが多いです。
学校の教員、塾の先生、スポーツの指導者、施設の職員——こどもが「信頼している大人」が加害者になるケースが多く報告されています。「まさかあの先生が」という事例が、実際に後を絶ちません。
だからこそDBS法は、信頼関係を構築しやすい立場にある従事者全員に、犯罪事実確認を行うことを求めているのです。
また、「こどもの同意があった」という主張が加害者から出ることがあります。しかし、こども家庭庁の研修資料にも明記されているとおり、こどもの同意があったと主張して性暴力を正当化することは、こどもの意見を尊重することには決してなりません。グルーミングによって心理的に誘導されたこどもが「同意した」ように見えても、それは真の同意ではないのです。
04|事業者として何ができるか
グルーミングへの対策は、DBS法が求める安全確保措置と重なります。
- こどもと職員が1対1になる状況を作らない——グルーミングは閉鎖的な環境で進みます。第三者の目があることが抑止力になります
- SNSでの私的なやり取りを禁止する——「不適切な行為」としてルールに明記することが大切です
- 研修でグルーミングについて学ぶ——知識があれば、「この行為は危険だ」と気づける職員が増えます
- こどもが相談できる体制を整える——こどもが「これっておかしいな」と感じたときに、話せる大人が施設内にいることが重要です
- 日常的な観察を続ける——こどもの様子の変化(元気がない、特定の職員を怖がるなど)に気づける職場環境を作ること
05|保護者にも伝えてほしいこと
グルーミングの知識は、保護者にも必要です。
こどもに日頃から、こう伝えておいてください。
- 「大人から『秘密にして』と言われたら、必ずお父さん・お母さんに話していいよ」
- 「嫌なことがあったら、誰でもいいから大人に話してね」
- 「あなたは何も悪くない。話してくれてありがとう、という気持ちで聞くよ」
こどもが「話しても大丈夫」と思える環境を、家庭と施設の両方で作ることが、グルーミングへの最大の防御になります。
「研修の内容を整備したい」「不適切な行為のルールをどう決めればいいか相談したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。

