犯罪歴の情報、どう管理する?——DBS法が求める「情報管理規程」の整備

DBS法(こども性暴力防止法)では、犯罪事実確認によって得られた情報を、厳格に管理することが義務づけられています。

「犯罪歴の情報なんて、うちでは扱ったことがない。どう管理すればいいのかわからない。」——そう感じる事業者がほとんどだと思います。

今回は、こども家庭庁のQ&A(基礎編8-1〜8-5)と義務事業者用準備ガイドをもとに、情報管理規程の整備について正確にお伝えします。


01|そもそも「犯罪事実確認記録等」とは何か

まず、管理すべき情報が何かを正確に知っておく必要があります。資料では、「犯罪事実確認記録等」として次の2つが挙げられています。

(1)犯罪事実確認書
こども家庭庁から事業者に交付される書面です。特定性犯罪事実該当者であるか否かに関する情報が記載されており、従事者ごとに交付されます。

(2)犯罪事実確認記録
犯罪事実確認書に記載された情報を他の書面や電子媒体に転記したものなどが該当します。

Q&Aでは、特定性犯罪事実の有無を直接的に示唆する内容——たとえば「黒」「白」と表現するなど——も、犯罪事実確認記録に該当すると明記されています。つまり、犯罪事実確認書そのものだけでなく、そこから転記した情報やメモも、厳格な管理の対象になるのです。

02|事業者が講じなければならない4つの措置

Q&Aでは、事業者が講じるべき情報管理措置として、次の4つが示されています。

  • (1)管理責任者の設置——犯罪事実確認記録等を適正に管理するための責任者を置くこと
  • (2)情報管理規程の策定——管理に関する措置を定めた規程を作ること
  • (3)情報管理規程の遵守——策定した規程を守ること
  • (4)民間教育保育等事業者の場合——その事業に従事する者を2人以上置くこと

「規程を作って終わり」ではなく、責任者を決め、規程を策定し、それを守り続ける——この一連の体制づくりが求められています。

03|情報管理規程に盛り込むべき「基本的事項」

情報管理規程には、次の基本的事項を盛り込む必要があります。

  • 犯罪事実確認記録等の取扱者は必要最小限とすること
  • 犯罪事実確認書の内容の記録・保存を極力避けること。やむを得ず記録・保存する場合は、リスクに応じた対応を行うこと
  • 情報機器の種類やネットワーク状況に応じた情報管理措置を講じること
  • 犯罪事実確認記録等の取扱いの手順(交付申請、交付、記録作成、廃棄・消去など)に応じて必要な対応を行うこと
  • 組織の長が情報管理の重要性を理解し、組織的に点検・改善を実施すること

特に注目していただきたいのは、「取扱者は必要最小限」と「記録・保存を極力避ける」の2つです。犯罪歴という極めて機微な情報を、必要以上に広めず、できる限りシステム上だけで完結させる——それがDBS法の基本姿勢です。

04|4つの情報管理措置

情報管理規程には、次の4つの措置を盛り込む必要があります。

  • 組織的情報管理措置——組織として適切に情報を取り扱うための体制を整備すること。情報管理規程に基づく運用や、漏えい等の事案に対応する体制の整備など
  • 人的情報管理措置——従事者に対して情報の取扱いに関する研修・訓練を実施し、適正な取扱いを確保すること
  • 物理的情報管理措置——業務上必要な者のみに情報のアクセスを認め、権限を持たない者には物理的にアクセスできないようにすること。機器や電子媒体等の盗難等の防止など
  • 技術的情報管理措置——犯罪事実確認記録等を取り扱う情報システムに対する不正アクセスなどを防止すること

これらの措置には、「標準的措置」(実施困難等の事由がない限り実施されるべき基本的水準)と、「最低限求められる措置」(全ての事業者に施設・事業単位で満たすよう求める水準)の2つの水準があります。可能な限り、標準的措置を満たすことが求められています。

05|こども家庭庁が「3つのひな型」を公表しています

「情報管理規程をゼロから作るのは大変そう」と感じるかもしれません。

こども家庭庁は、情報管理の方法に応じて3つのひな型を公表しています。

  • ひな型①——責任者一人のみが、こまもろうシステム上のみで犯罪事実確認書を確認し、それ以外では記録・保存等を行わない場合
  • ひな型②——責任者を含む複数名が、こまもろうシステム上のみで確認し、それ以外では記録・保存等を行わない場合
  • ひな型③——責任者を含む複数名が確認し、こまもろうシステム以外にも記録・保存等を行う場合

小規模な園や学校であれば、ひな型①(責任者一人がシステム上でのみ確認)が最もシンプルです。確認する人数を増やしたり、システム外に記録を残したりするほど、管理の体制も厳格にする必要があります。

まずは自分の施設がどのひな型に当てはまるかを考え、該当するひな型をもとに規程を整備するのが、最も確実な方法です。

06|犯罪歴の情報を漏らしたら、どうなるか

最後に、とても大切なことをお伝えします。

犯罪事実確認によって得た従事者の性犯罪歴を、みだりに他人に教えるなどした場合は、法に基づく刑事罰が科されるだけでなく、民事上の損害賠償請求の対象にもなり得ます。

万が一、漏えいなどの重大な事態が発生した場合は、直ちにこども家庭庁に報告する義務があります。場合によっては、個人情報保護委員会への報告も必要です。

犯罪歴という情報は、その人の人生を左右する極めて重い情報です。だからこそ、DBS法はこれほど厳格な情報管理を求めているのです。


「情報管理規程をどう作ればいいかわからない」「どのひな型を使えばいいか相談したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。社会保険労務士・行政書士のダブルライセンスで、ワンストップで対応します。

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